富山湾のマスコットに育てよう

オオグチボヤは写真のように愛嬌のある姿をしています。その後の調査により、水深300m以下の海底斜面の岩盤や沈木、ごみの空き缶などに付着して群生し、 富山湾では氷見、新湊、魚津沖に広く分布することなどが明らかになっています。
オオグチボヤは大きな口をあけ一体何を食べて生きているのでしょうか。いまその謎解きが始まろうとしています。 この秋から富山湾で本格的な調査が行われると聞きますが、その正体が明らかになり、コロニーが当湾特有のものであれば、 あらたな富山のマスコットにしたいものと考えます。
ちなみにホヤのほうは、知る人ぞ知る酒肴です。昭和天皇が研究対象にされたとか、原索動物で進化論的に人の先祖にあたるとか、 バナジウム濃縮能力が注目されたりと、何かと話題の多い原索動物です。
藻の植栽

富山湾は大阪につぎ自然海岸が少ないと言われています。今も港湾建設工事や海岸整備事業が行われていいますが、一部では 沿岸に設けられた離岸堤を水中に埋め、海岸の景観を改善する試みがなされるようになっています。 消波ブロックを水中に積み重ねて波を消すには沖へ向かって幅をもたせる必要があります。射水市海老江地先の例では、 5ヘクタールの人工リーフ(以下、礁という)が誕生する予定です。 コンクリート・ブロックと捨石でつくられた礁は、基部の水深が5メートル、頂部水深が2メートルの大きな台形状構造物です。海藻らしきものはないですが、 よく見ると表面には部分的に石灰藻が着き、わずかに牡蠣やウニの生息が確認できます。
人工リーフの出現は、いわば砂浜海岸に突然岩場が誕生したようなものです。ここに藻場を造成したいと考えます。 広大な人工リーフに藻場を造成することは「荒地に木を植える」試みにも似て根気のいる事業ですが、 海中林が育てば生態系と水環境が改善され、衰退する沿岸に豊かな海をとり戻し、人々が憩い・遊び・楽しむ海浜空間を創ることになると考えられます。